蒸しの勘どころ
茶葉を摘んだあと荒茶に仕上げるまでの製茶工程において、茶葉の発酵を止める「蒸し」が一番大切だと坂元さんは言います。
新芽は茶葉の赤ちゃん。 おじいちゃんと孫が一緒にお風呂に入ると、おじいちゃんは熱いお湯を好み、赤ちゃんは熱いお湯だと肌が真っ赤になってしまう。茶葉も同じで、新芽も優しく蒸してあげないといけません。
まずはすべての茶葉が同じように蒸される状態を大切にするため、摘採した新鮮な葉をすぐに蒸すのではなく、6時間程度、萎凋させて葉がしなやかになるのを待って蒸し機に投入します。 しなやかな葉は、葉切れもなく、流れも安定します。また、水分も減っているため、耐熱性も高まります。
坂元さんの茶葉はミネラルがバランスよく与えられているため、細胞密度が高く熱伝導率も高くなっています。蒸しでは、柔らかく少ない蒸気量で、葉を傷つけないよう攪拌も控えめに、じっくりと蒸します。蒸した後の茶葉が、手で触れる温度であることを目安にしています。
その後の乾燥の工程でも、できるだけ温度を控えめにします。茶葉が抱える香りは、生葉の状態が100%。その香りを製茶の段階で飛ばしてしまわないよう、香りを包みこむようにすることを大切にしています。
口に含むと広がる香りの余韻は、坂元さんの想いの賜物なのです。
薩摩有機玉露「薫風自南来」は2018年新茶よりオンラインショップと通信販売限定で販売を行います。今のところ店頭での販売は予定しておりません。