細くよりがかかっていて、つやがあり、針のようにぴんとした茶葉。
職人が手揉みで仕上げたお茶は、まさにこのような特徴を持ち、芸術品のよう。
現在の製茶の技術は、このような職人の技術を理想として機械化したものです。
現代にいたる歴史の中でも、いろんなお茶の品種が誕生し、さまざまな製造技術が生まれ、同じ煎茶の中でも世界が豊かに広がってきました。
そのなかで茶葉の形もいろんな表情を持つようになってきました。
茶葉を摘んだ後の蒸しの時間を長くすることで、茶葉の表皮が柔らかくなり、小さな茶葉になりやすいのが深むし茶。渋みが少なくまろやかな味わいで、濃厚な緑色の水色になるのが特徴です。にごりに含まれた茶葉を飲むことで健康にも良いと言われています。
また、ふくよかな旨みを持つ上質な若い新芽はとても柔らかく、仕上げの段階で小さな茶葉になることもあります。こちらもお茶のおいしさのために欠かせない茶葉です。
品種や育て方により、小さな茶葉になりやすいものもあります。
いつものお茶の葉を見ていただくと、茶師がブレンドして仕上げているお茶の中には、大きな茶葉、小さな茶葉、どちらも入っているものがあります。茶師は、銘柄のお茶を作るために、千を超える茶葉の中から五感を駆使して選りすぐり、合組み(ブレンド)し、香り、味わい、水色が調和するように仕上げています。それぞれの茶葉に役割があるのです。
お茶はおいしく飲むために作られています。お好みのお茶は、まずは味わうことが一番。
いろんなお茶を飲み比べて、お茶の表情豊かな味わいを感じてください。
茶葉の姿を見て、このお茶はどうやったらおいしく淹れられるかと想像できたら、お茶玄人の第一歩。いろんな視点で、お茶を愉しんでいただければ幸いです。