お知らせ

「私が惚れこむ、山間のお茶」vol.1



美老園の製造部門である鹿児島製茶で茶師・社長の森裕之と申します。

前回行われた全国茶審査技術競技大会で茶審査技術10段(通称茶師10段)を取得しました。茶審査技術競技大会とは全国の茶業従事者が1年に1回お茶の鑑定能力を競う大会で、得点に応じて段位が授与され、最高位の十段は66年の歴史の中で全国に14名しかおりません。(詳しくはまた別の機会に)

私は先代から美老園のお茶の神髄は香りであると常々教わってきました。また地域・畑によって土壌は変わり、そこに植えらえている茶の香味も変わるため、良い産地・良い畑を見極めることを教わりました。

最近はお茶を湯呑に入れた時の色が濃い緑になる深むし茶が増えてきていますが、当園ではより薫り高い普通蒸しのお茶を主体にしたお茶を「さつまほまれ」と銘打って主力商品にしております。当園の看板商品の特選鳳苑・鳳秀には香気の良い山間のお茶を使用しており、主な産地は霧島市・さつま町になります。今回はそのさつま町を紹介しようと思います。

 

teamap.png

 

一般社団法人 鹿児島県茶生産協会

さつま町のお茶の歴史は宮之城4代領主であった島津久道が正保2年(1645年)から殖産産業のため宇治の茶の実を取り寄せ茶園の奨励を行ったとされています。昭和25年(1949年)には39ha(東京ドーム約7.6個分)が栽培され、10の製茶工場で10tの荒茶(皆さんが飲まれるお茶の原料)を生産するなど、町の重点施策として推進されたことが、今日の茶業振興の基礎になったそうです。

地形的には紫尾山(しびさん)(標高1,067m)を含む外輪山に囲まれた盆地で、町の中心を一級河川である川内川(せんだいがわ)が流れています。川内川の川霧は日本3大川あらしの一つとして有名で、気温の寒暖差が大きく、霧の発生し易い気象条件は良質茶栽培に適しています。(霧が発生する環境のお茶が美味しいとされる理由はまた別の機会に)

さつま町茶畑.jpg

 

工場数は19軒と大規模産地からすると少ないですが、これがある意味まとまりよく、お互い切磋琢磨しながらいいお茶を作ろうと頑張っています。その中の一つが毎年行われている荒茶研修会です。茶農家さんが作った荒茶、昨年産の荒茶、他の農家さんが作った荒茶を、我々お茶屋と栽培製造の技術指導員などに評価してもらう研修会を長年取り組んでいます。

そこに参加する我々お茶屋も、どの農家さんがどのような思いでどのようにお茶を育てているかがつぶさにわかるのです。先月は実際の茶畑も視察し、土づくりから茶園の仕立て方まで教えていただきました。

さつま町では気象風土にも恵まれた茶本来の香りを重視するために、蒸し時間を短かめにし、その後の工程も香りが飛ばないよう風量を抑えたり、原料茶葉に合わせて揉み込む力の程度や時間を変えるなどの丁寧な製茶作業が行われています。

従来の小さめの機械を使って、きめこまやかなお茶の製造をしています。製造中のお茶の状態がどうか、五感を使って判断し、職人技で細かく調整し、よりいいお茶に作り上げるのも、昔ながらの小さめの機械ならではです。お茶の中から水分を揉み出す作業も、力の掛け方が大型機械よりも弱く、茶葉の繊維を必要以上に壊さず、針のようなきれいな形に仕上がります。

特選鳳秀.jpg

お茶の栽培製造を学ぶという姿勢は、農家さんの後継者にも受け継がれ、次世代が集まって勉強会をしています。さらに私たちお茶屋の若手たちとも研修会を開き、栽培・製造の技術の向上を心掛けています。

このような取り組みを、町・人・地域が一丸となって行っているおかげで、良い品質のお茶ができるのす。

いつかさつま町のシングルオリジンのお茶を販売し,皆さんにその香りを味わっていただければと思っています。

(記:森 裕之)

 

 

 

bn_merumaga2.jpg